<由紀>ひっ! そ、それ・・・な、なんですか?
取り出したのは丸底フラスコだったと思う・・・理科の実験で見たことのある馴染み深い道具だ・・・
だが、中の液体がなんなのか・・・
わたしの緊張が高まるのを源太郎さんは嬉しそうに見つめながら
<源太郎>さあ、なんだろうね。きっと喜ぶものだよ。
<由紀>・・・・・・
言葉が出なかった。ぜんぜん、回答になっていない。
と、源太郎さんの手にしたフラスコが傾けられた。
薬品が透明のガラスを伝いながら、わたしのパジャマに降り注ぐ。
<由紀>きゃあっ! あ、熱っ・・・
液体が数滴・・・たった、数滴が降り注ぐと・・・
<由紀>うぎゃあああああああああああっ!
自分でも驚くほどの大声がでた。 胸の上に落ちた液体は、肌を焼くような熱と共に広がっていった。 見ると雫が落ちた部分のパジャマが溶けていて、肌が赤くなっている。
<由紀>あ、熱いぃ・・・熱いですっ・・・やけどしちゃうっ!
<源太郎>やれやれ、うるさい女だな。全部かけてやるわ。
<由紀>えっ・・・い、いま・・・な、なん、て・・・言、った、んですか?
源太郎さんはフラスコをさっきよりも大きく傾けた。
<由紀>うぐぐっ・・・ひぃっ・・・い、いやあっ・・・
胸に熱い液体が降り注ぐのを、わたしは歯を食いしばって耐える。 が、そんなことができたのは最初の数秒だけだった。
<由紀>ああァァアああァアああっ! やめてええっ!
耐えられる熱さじゃない。わたしは二度目の絶叫をあげて、ベッドの上で跳ね上がった。
源太郎さんは空になったフラスコを投げ捨てた。 奇妙な液体は、すべてわたしのパジャマにかけられたのだ。
<由紀>はぁはぁ・・・はぁ、はあ・・・ううっ・・・
胸にあれほどに広がった熱さが少しずつ引いていき、わたしはやっと落ち着きを取り戻した。
<源太郎>だいぶ、いい景色になったな。


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